子どもの病気・怪我の対応
怪我・病気などの発生時、怪我や病気が悪化しないように応急処置や医療機関を受診させるなどが重要です。発生頻度の高い病気・怪我についての対応策を紹介します。
1「熱中症」の対応方法
乳幼児は、身体の70%以上が水分でできています。成人に比べて簡単に脱水症状になりやすく、脱水が重症になると多臓器不全や痙攣を起こし、死に至ることもあります。
- ①水分・電解質の補充をする
- 涼しい環境を確保し、身体を冷やします。水分補給はただの水より、イオン飲料が望ましいです。
- ②医療機関に連れて行く
- 意識がもうろうとしていたり、震えがある場合には、医療機関に連れて行きます。
- ③救急車を呼ぶ
- 意識消失や痙攣の症状が出ている場合には、救急車を呼びます。

2「鼻血」の対応方法
5分以上出血が止まらなかったり、噴出するような出血(動脈出血)、打撲などで鼻出血を起こした場合、鼻の根元が腫れていると鼻骨骨折の可能性があります。このような場合には、医療機関へ連れて行きます。
- ①顔を前に屈めて座らせる
- 寝かせてしまうと、鼻血を飲み込み、嘔吐の原因になることがあります。
- ②指で鼻をつまむ
- 鼻にガーゼや綿などを深く入れる必要はありません。

3「発熱」の対応方法
発熱以外にどのような症状があるかが大切です。
- ①アイシングをする
- 本人が頭痛などの辛さを訴える場合は、氷嚢や保冷剤で腋の下やソケイ部を冷やします。
- ②水分補給をする
- 発熱すると発汗や食欲不振で脱水状態になりますので、水分の補給が必要です。
- ③熱の放散を防がない
- 熱の放散を妨げてしまうため、厚着をさせたり、毛布で包んだりすることは避けます。熱の上がり始めは、悪寒がする場合があるので、毛布などを少し上にかけてもいいですが、熱が上がりきってからは、ひきつけをおこす可能性があるため、暖めすぎないように気をつけます。

4「頭部打撲」の応急処置
頭部を打撲した場合、症状の見極めが必要です。
Case.01
- ■打撲後すぐに泣く
- ■その後、機嫌よく遊んでいる
- ■嘔吐が1回あったが、その後は元気
経過観察します。保護者が側にいない場合には、保護者に連絡をします。
Case.02
- ■打撲後に一時ボーっとする
- ■顔色が悪く、嘔吐を繰り返す
- ■頭痛が持続する・意識障害がある
医療機関へ連れて行きます。
- ①打撲部位にこぶができた場合
- 頭蓋骨と皮膚の間の出血、患部を冷却します
- ②打撲部から出血した場合
- まずタオルなどで圧迫します。止血できない場合や、傷口が0.5~1cm以上開いているときは、縫合が必要な場合があります。
- ③頭蓋骨内出血
- 大量出血の場合は、すぐに症状が出ますが、少量の出血では、24~48時間後に症状が出ることがあります。その場に保護者がいない場合には、必ず連絡します。。

5「食物アレルギー」の対応方法
食物アレルギーとは、食物を食べてアレルギー反応を起こし、皮膚の症状・呼吸症状、時には、アナフィラキシーショックを起こすこともあります。乳幼児では、5~10%、小学生では、1~2%にあると言われています。食物を食べてから、数分以内に起きる場合もありますが、24時間後に出る場合もあります。
- ①洗浄
- 皮膚や眼についたときは洗浄します。
- ②うがい
- 口に含んでしまったときは、うがいをします。
- ③冷やす
- 食べてしまって、蕁麻疹や掻痒感が強いときは、その部位を冷やします。
- ④医療機関へ
- 呼吸症状および、蕁麻疹が広範囲になるような場合は、医療機関に連れて行きます。
アレルギーの症状
- 消化器:口腔違和感・口唇浮腫・嘔吐・下痢・腹痛など
- 呼吸器:くしゃみ・鼻汁・咳・喘鳴・呼吸困難・喉頭浮腫
- 眼 :結膜充血・浮腫・涙
- 皮 膚:蕁麻疹・湿疹・掻痒感・浮腫・水疱
- 神 経:頭痛
- 全 身:アナフィラキシーショック

監修:いなみ小児科及び付属病児保育室 ハグルーム運営
稲見 誠 医学博士